【B第1節 ペルージャ戦レビュー】
【レビュー】
(出典:@ACChievoVerona)
数多の文明の利器が我々にもたらした恩恵が語るように、人は一度好条件を与えられるとなかなかこれが元の生活へは戻れないものだ。自分が恵まれた環境に置かれているということは、失ってから初めて気づくのである。
我々ClivensiはBに転落したことで、VARという素晴らしい文明の利器を失った。2リゴーレによるB開幕戦敗北。Artemio Franchiでヴィオラに起きた悲劇は、ここ敵地Renato Curiでも起きていたのだと筆者は強く言いたい。Pezzuto主審には是非ともDAZN ITAにご加入いただき、ご自身の素晴らしいジャッジの数々を再度ご確認いただきたい。
(出典 :@ACChievoVerona)
クラブ創立90周年を迎えた記念すべきシーズン、恥ずべき降格を糧に復活への狼煙を上げよう。
B開幕戦のスタメンは上記画像の通り。実はこの予想、筆者は的中させていた。(だから何かと言われれば、まあそれまでであるが…。)
なお、StepinskiやGiaccheriniの去就は未だに確定していないが、彼らはケガを臆することなく戦ってくれた。その調子でこの1年共に戦ってはくれないだろうか?
思いっ切り招集外選手を入れてましたよ…というわけで私の予想はこれです。 pic.twitter.com/bewmZwlSJB
— Yotaro:Giappone Clivense (@Chievo_Giappone) August 25, 2019
前半開始早々、キエーヴォは先制に成功する。Brivioのクロスと見せかけ意表を突いたシュートを相手GKが弾いたところを難なくMeggioが流し込み今季初ゴール。幸先の良いスタート。その後も押し込む時間帯が続き、シーズン序盤ながらそれなりのチームとしての形を見せていた。事は順調、この分ならそのまま勝つだろうな、Clivensiはそう思っていた。
が、現実はそう甘くない。チャンスを活かしきれないまま時は過ぎ、前半終了間際のことであった。CBのLiverbeがハンドを取られ、リゴーレを献上し同点に追いつかれてしまう。
この1つ目のリゴーレだが、筆者が冒頭で主張したように、AであればVAR判定の対象となったであろう疑惑のジャッジであった。自身の蹴ったクリアボールがすぐ近くの相手に当たり、そのリフレクションが仕方なく当たってしまった格好。先のルール改正でハンドリングに関する文言が変更されたが、このシーンももれなく"ハンドリング"には当たらないものであろう。「付近の相手競技者に当たったボールがすぐさま手に向かってきた場合」であり、中でも本件は接触を避けることが困難なケースである。こればかりは非常に残念なジャッジと言えよう。
結局後半にまたしてもLiverbeがリゴーレを献上し逆転され(この際のリゴーレは至極妥当であった)、そのまま幾多の決定機を外し続け敗戦。Marcolini体制としてのカンピオナート・カデット初陣は、監督の志向するサッカーの形を見せ"いい試合"を演じたものの、攻撃守備両面において個々の能力の課題を浮き彫りにしたのであった。ただ、誤審が無ければ、後半の戦い方が大きく変化し、勝利へと大きく近づいていたかもしれないということもまた事実である。
(出典:@ACChievoVerona)
残念ながらBへ降格してしまったために、今季は【GdS】の採点を見ることができない。(現地にはあるのかもしれないが。) ゆえに、今季は個人採点…はせずに、ヴェローナのスポーツクラブに特化した【TGG】の採点およびコメントを拝借させていただくこととする。
Semper:8
最高。Giallobluの砦。最後尾から的確なコーチングでスカッドを統率した。リゴーレは致し方なく、逆にそれ以外は完璧なプレーであった。
Bertagnoli:6+
感情を正しくコントロールできる数少ない若手の1人。デビュー。
Rigione:6
これといった見せ場の無い試合であったが、少なくともディフェンス陣において最悪ではなかった。
Leverbe:5
最悪。もちろん彼のせいではないが、確かに彼の経験不足が彼の技術よりも勝ってしまっている。2つの決定的なリゴーレを献上した。
Brivio:5.5
相手のFernandezのスピードへの対処の難しさがちらついた。少し余計なプレーもあったか。
Esposito:5.5
数々のパスは良いアイデアだったが、あまり具体的な効果は無かった。彼はまだまだ気張らなければならない。
Garritano:6+
中盤は彼の手中にある。テクニックと粘り強さを見せつけた。
Giaccherini:6
少し物足りない内容。すべてのリーグで常に違いを生んできた彼ならまだまだやれるはず。
Pucciarelli:5.5
復活のシーズンとなるが、あまり良くないスタート。2つの決定機をフイにした。
Stepinski:5.5
彼は足下において鋭さを見せることはできず。チャンスがあったが、残念な結果に。
Meggiorini:7
彼のゴールは瞬間的な判断が光っていた。"真のカピターノ"としてピッチに力を伝えようとしていたが、振舞いだけでは不十分だ。
Djordjevic:6+
後半途中から入ったが、基本的なプレーをそつなくこなしていた。最後の決定機を沈めていたのなら、カムバックを疑う者はいなくなったことだろう。
Segre、Vignato:採点不可
Marcolini:6+
敗戦はポジティブではないが、ピッチに彼のアイデアとスカッドが一致していることを示した。良い前半だったが、後半失速したことから彼は学び取らなくてはならない。
(出典:@ACChievoVerona)
【TGG】にもあった「後半失速した」部分について、筆者が気になったことがある。それは前半30分過ぎ、アンカーのEspositoが肩で息をし、試合終了間際かのような疲れを見せていた点だ。暑さこそあれど、バテるには早すぎないか?と疑問に思った部分。昨季Radvanovicが同様の戦術で同じポジションを務めていたが、こちらはバテ以前に全体的にカバーできておらず、攻守において穴となる場面があった。
シーズン序盤で実戦感覚に欠けるプレーをしていた選手もちらほらいたが、このアンカーというポジションについてはターンオーバー制を敷くなどして特に注意を払う必要がある。幸いトップ下の選手には恵まれているので、アンカー含め3センターの人選そして激しいポジション争いができる環境を期待している。Espositoだけではいずれ頭打ちになるだろう。
開幕戦にして早くもBの洗礼を浴びたMarcolini Gialloblu。この苦い経験を早くしておいて良かった、と前向きに捉え必ずや糧にしなくてはならない。
次節は降格組の同志たるエンポリが相手となる。恐らくは自動昇格枠を争うライバルとなろうが、彼らは今節ユーベ・スタビアからきっちりと勝ち点3をもぎ取っている。
負けられない直接対決を制し、今季は早めに波に乗りたいところだ。片鱗を見せたMarcoliniの手腕に期待しホーム開幕戦を注視しよう。
Marcolini「困難なことだとはわかっていたが、初めての挑戦にワクワクしていた。少なくとも勝ち点1は持ち帰ることができたはずなので少し残念に思っている。発展途上のチームでここペルージャに来たので、次当たる際にはより期待していい。
攻撃においては、初戦を制すための2つの重要なチャンスを逃した。防衛では、重大なミスをし、ペルージャは2つのリゴーレを獲得することで試合を制した。我々は少し噛み合っていない部分があって、明快さも欠けていた。もっと狡猾に試合を運べていたら、結果は別のものとなっていただろう。」
(出典:@ACChievoVerona)