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@Chievo_Giapponeがお伝えする@ACChievoVerona情報

【B第3節 ヴェネツィア戦レビュー】

【レビュー】

 

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(出典:@Lega_B)

 

風は吹き始めた

「流れに乗る」チームには必ずと言っていいほど分岐点があるものだ。バックアッパーの奮起、コンバートから若手の覚醒、劇的な勝利、などなど。

 

我々キエーヴォにも昨季、流れに乗るチャンスはあった。セリエA第1節ユベントス戦。ホームBentegodiで行われたCristiano Ronaldのデビュー戦ともなったこの一戦には、4万人を超える観衆が詰めかけ、軍が出動するほどのお祭り騒ぎとなった。

おおよその予想を裏切り、キエーヴォ絶対王者相手に善戦した。指揮官D'Anna率いるチームの完成度は春先のユーベを大きく上回り、チーム力の差を乗り越え、ジャイアントキリングへあと一歩のところまで追い詰めた。残念ながら残り10分間で2失点、逆転負けを喫したのだった。

その後チームが苦しんだことはご存知の通りだ。初勝利は前半戦折り返しである第19節までおあずけとなった。そして、そのまま波に乗れず降格。「あの開幕戦で勝っていれば…」と振り返り悔しさを募らせるClivensiは決して少なくないだろう。

 

今季の状況はこの昨季の印象とよく似通っていた。惨憺たるPSMとは裏腹に、Marcoliniキエーヴォは完成度の高いサッカーを開幕戦から展開した。だが、勝てない。主力を抜かれたとはいえ、Bの中ではチーム力で頭一つ抜けている我々は今季中の昇格が至上命題であり、カンピオナート初勝利は早急に挙げる必要があった。

そんな中で3戦目にして収めた勝利。相手のボーンヘッドに助けられた部分はあるものの、安定感のある盤石の試合運びでアウェイで完勝してみせた。この「結果」が、チームに流れを呼び込み波に乗らせる。そういった意味でも、昨季味わった嫌な雰囲気を払拭する価値ある勝利と言えよう。遂に風は吹き始めた。この気流に乗って翔く準備は、できている。

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(出典:@ACChievoVerona)

 

 

新たな面々が合流、充実したスカッド

ナショナルウィーク明けの今節、戦術の落とし込みや怪我の回復もあり、スタメンに変更が見られた。

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(出典:@ACChievoVerona)

SPALからローンで獲得したDickmannがBertagnoliを差し置いての先発。安定したプレーを見せていたRigioneもベンチスタートとなり、代わりにベテランCesarがカピターノバンドを巻いてのスタメンとなった。復活を期すも今ひとつパッとしないPucciarelliの位置にGiaccheriniが収まり、中盤には怪我から復活を遂げたObiが入った。

 

 

11vs10

開始早々、相手10番のAramuが退場。4分のことだった。画面外で起きたこと(※後に引き画面のリプレーが流れた)なので推測となるが、恐らくは前のプレーでEspositoがAramuを結果的に"削る"形になってしまい、根に持ったAramuがプレーに関係ないところですれ違いざまにEspositoの背後から彼のかかと付近を踏みつけたようだ。不運にも、主審がたまたま見ていたため一発退場。愚かな…。

 

早くも10人でのプレーを強いられるベネツィア、そしてより圧倒的優位な状態で狙い通りにボールを保持するキエーヴォ。とはいえ、さほど数的優位性を感じない試合でもあった。最初にチャンスを作り出したのもヴェネツィアだったのだ。(マイナスのクロスからシュート、DFによってややブラインドとなったボールをSemperが鋭い読みでセーブした。)

もちろん、ヴェネツィア側は普段以上に走ることによって数的不利を感じさせなかったのであり、当然ながら明らかに疲労度が違った。そして、フラストレーションも相当だったのだろう。プレー内外を問わずラフプレーや小競り合いが頻発する荒れ模様の様相を呈していた。血の気の多いDjordjevicやSegreがいつカードを提示されるかとヒヤヒヤ。Espositoのカードはいわゆる"ナイスファール"の結果であり、おかげでカウンターの芽を潰すことができた。GJ、Esposito。

 

ハイプレスの賜物

連動した前線守備がウリでもある今季のキエーヴォは、遂に徹底したハイプレスが実り相手のバックパスのトラップミスを誘い、ボールを奪取し流れるようにGiakが押し込み先制。前半終了間際になってもなお強度を高く持ってプレッシャーをかけ続けたDjordjevicやMeggioriniがもぎ取った1点であり、Meggioのパスを冷静に流し込んだGiakも流石の一言である。この1点が入ったか否かの状態で前半を折り返すのは大きな差がある。相手のミスながら、それを呼び込んだ攻撃陣の価値あるゴールであった。

(そのGiakだが、55分に足を痛め負傷交代となってしまう。屈筋付近の筋肉系の怪我と見られ、精密検査の結果が待たれる。)

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(出典:@ACChievoVerona)

 

「違い」を見せつけた傭兵

勝利を大きく引き寄せた2点目は、新戦力であるDickmannの素晴らしいクロスから生まれた。彼は試合を通して質の高いパスを供給し続け、時には自らも素早く果敢に攻め上がり右サイドを制圧した。このポジションは開幕から育成組織上がりのBertagnoliが本職は中盤の選手ながら安定したプレーを見せていたが、今節のDickmannはそれを遥かに上回る内容だった。守備面でもデュエル勝率は高く対人戦は問題なくこなしていた。もちろん、深い位置を取っている際にセンターハーフがロストすると最終局面まで作られてしまうため、Segreとの連携は攻撃の開始時、チームにとってより重要となってくる。矛の使いすぎにも注意が必要だろう。

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(出典:@ACChievoVerona)

 

帰ってきた中盤のラストピース

後半はカードトラブルを恐れてか、EspositoをGarritanoに代えてのスタートだった。そんな中、代わってアンカーを務めた怪我明けのObiは抜群のプレーを見せつけた。短長問わず小気味よくパスを捌き、厳しい局面も持ち味の個を存分に活かした対人能力で打開。センターハーフで先発した前半もさることながら、アンカーをこなした後半はまさに試合の手綱を握っていた。彼の存在は、Marcoliniの志向する戦術の中盤に様々なオプションを与えることだろう。

 

 

以下、指揮官Marcoliniの談話だ。

Marcolini「私はこの初勝利に満足している。この3ポイントは非常に重要だ。昨季のカンピオナートより早い段階でこれを挙げることができたことは評価に値する。

4分でAramuが退場、そのために数的優位となり、試合はすぐに最高の展開へと導かれた。前半終了間際のゴールは我々の勝利を完全にづけたも同然であった。バランスの取れた試合展開だったのではないだろうか。」

 

次に、得点ランキング2位につけるDjordjevicのコメント。

Djordjevic「我々にとって、ゴールは重要であり、私が2試合連続でゴールを挙げることができたことを非常に嬉しく思う。今日の勝ち点3は、カンピオナートの目標(※昇格)に大きな自信を与えてくれるものだ。特に、若手に多くの熱意を与えたことだろう。ピサとの次の試合からも、これを継続していく必要があることは明らかだ。

ヴェネツィアとはどのような試合だったか?)我々の高いクオリティのおかげで、勝利に値する試合内容だった。

(あなたはチームの柱となるか?)これは監督に宛てるべき質問だ(笑)。
(途中出場のVignatoについて)素晴らしい才能、彼は金の卵だ。確かに彼が我々に大きな手を差し伸べる日が来ることだろう。私は彼ができるだけ長く我々と共にプレーすることを望んでいる。」

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(出典:@ACChievoVerona)

 

 

Giak欠く次節、鍵を握る若き力

既にお伝えした通り、次節は負傷によりGiakを欠いてのホームゲームとなる。相手は現在2位と好調のピサ。強度の高い守備から、ショートカウンター気味の素早い攻撃を持ち味とするチームだ。特に、得点ランキング1位のMarconiは裏への飛び出しを得意とする、両利きの万能型ストライカー。ゴールへの鋭い嗅覚は奇しくも背番号を共にする我らが永遠のカピターノ、Pellissierを彷彿とさせる。ハイラインを特徴とする今季のキエーヴォ守備陣は相手のロングボールに対しても常に緊張を強いられることだろう。Marconiの対応ももちろんだが、なによりも重要なのは「ロングボールを出させない」こと。リピートアフターミー、ロングボールを、出させない。今節のような前線守備を継続して形成することができれば、容易に失点機会を献上することにはならないだろう。

そして、Giak不在の攻撃陣ではやはりVignatoに注目が集まる。今節は長い時間での途中出場も、GKとの1対1の絶好機を外すなど、今ひとつ「足りない」プレーとなってしまった。Djordjevicも少し会見で言及したように、各人がフリーランやカバーリングで彼がプレーしやすい環境を作ってくれている。巡ってきたチャンスを生かし、今季こそ持てる力を発揮し大輪の華を咲かせてほしい。逆境は好機。今こそ覚醒の時だ。

 

 

昇格を阻む相手は蹴散らすのみ。ブレイクの予兆を見せていようが、芽を潰すが如く、我らのホームで力の差を見せつけてやろう。

 

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(出典:@ACChievoVerona)